- 1921年迄に、自社工場を持ち、電気・テルミット溶接、特に銅溶接、確立した。
- 1928年、長い開発期間を経て、初めて、缶体直胴部にフルジャケット又は半割コイルを直接溶接するこができ、特許を取得しました。鋳鉄缶体部に鋳鉄コイルの時代は終わりました。
- 1931年、カールスルーエ工科大学との共同開発と破裂テストに基づき、プロジェクション溶接による革新的なフルジャケット溶接で特許を取得致しました。
- 1949年には固定翼・直胴本体の縦型薄膜蒸発機の特許申請を致しました。これは現在様々な型式の薄膜蒸発機の原形となる、世界で最初に開発された薄膜蒸発機です。
- 1958年バイエル社(ドイツ)とザメスロイター・ルーワ社は縦型薄膜蒸発機で金属ワイパーを有するザンバイ型薄膜蒸発機を共同開発し特許を取得し、その後、当ザンバイにコンデンサーを内蔵した高真空対応縦型薄膜蒸発機、ザンバックを開発致しました。ザンバックは世界で最初の高真空対応薄膜蒸発機です。
- 1969年、長期間の開発後、世界初の横型薄膜乾燥機が完成致しました。縦型薄膜乾燥機は高い熱伝達と短い滞留時間を提供致しますが、一方、横型蒸発機は比較的長い滞留時間が維持でき、系内粘性変化に対応が可能です。
- 1970年、世界で最初の高粘度製品向け薄膜蒸発機、フィルムトルーダーが開発・納入されました。フィルムトルーダーはそれぞれの高粘度プロセスの特殊な要求に基づき、その特殊性に対応した攪拌翼を有しております。一般的な高粘度プロセスで要求される、狭い滞留時間分布、製品温度管理に対応しております。
- 1980年、横型薄膜乾燥機が下水汚泥処理を目的として初めて採用されたあと、数多くの実績を残しながら現在に至っております。
- 1985年、新しいセルロース天然繊維(LYOCELL:リヨセル)の紡糸溶液の生産設備に不可欠な装置としてフィルムトルーダーはテスト機として採用され、その後、当製品の生産に重要な機器として現在も使用されております。
- 1991年、マレーシアのワックス蒸留プロセスに世界で最大の高真空対応ザンバック7基が導入されました。
- 1998年、横型大容量2軸ニーダーがリアコム及びリアシルとして開発されました。当機器は高粘度製品及び固体製品向けで、長い滞留時間と狭い滞留時間分布が特徴で、高いセルフクリーニング性を有しております。開発以来、多くの特許を取得致しております。
- 2000年、石炭タールピッチ向けに、加熱温度が450℃の高真空対応コンデンサー内蔵膜蒸発機を初めて納入致しました。その後、当お客様に同タイプの薄膜蒸発機を追加納入致しました。
- 2006年、10m3のリアクトサームを高分子吸湿樹脂(SAP)向けに反応機として韓国に納入致しました。同時に、内径3.4m、長さ14.5mの銅ライニング反応器をオランダ企業に納入致しました。
- 2008年、加熱面積が70m2の横型乾燥機を2基、船舶向けに初めて納入致しました。当乾燥機は船上でオキアミからオイルとリン酸質の抽出プロセスに使用されております。
- 2009年、初めて、リアシル2基が連続重合機としてマレーシアのお客様向けに製造・納入されました。モノグリセリドのエステル化と蒸留プロセスに使用されております。
- 2010年、新たに開発したハイバップ(医薬製品向け固定翼横型蒸発機)が産業用として納入されました。
- 2012年、初めて、CFT乾燥機がTDI残渣回収プロセスに採用されました。当乾燥機は従来のTDI残渣回収向け乾燥機とは全く原理を異にするもので、機械攪拌により残渣を流動し、TDIを極限まで回収する乾燥機です。
- 2014年、世界最大の加熱面積125m2の横型薄膜乾燥機を複数製作・納入致しました。これら乾燥機は中国向けで、下水汚泥乾燥に使用されております。
- 2018年、世界初の高粘度製品向けコンデンサー内蔵型高真空対応薄膜蒸発機、デボシルを開発致しました。当技術は2012年より開発を開始致しました。
- 2019年、弊社歴史上、最大の受注20.5百万ユーロ(約25億円)がございました。上海市の下水汚泥乾燥プラント向けで横型薄膜乾燥機10基と連続式乾燥機10基から構成されます。

背景と歴史
技術革新力は弊社にとって最重要課題です。過去の実績にとらわれず、継続的に技術革新を推進した結果として2019年に100周年という素晴らしい成果を祝うことができました。
ブス-エスエムエス-カンツラー社において、技術革新は単なる掛け声では無く、通常業務の一部となっております。
それは第一次世界大戦に敗戦したドイツが希望を失い、混沌としていた翌年1919年に、弊社が設立されたことによります。当時、戦争から戻った38歳のリチャード・ザメスロイターは資金の無いところからブッツバッハにザメスロイター社を設立し、現在の成功を成しえました。その支えとなったのが日々の技術革新でした。
ザメスロイター社は1919年4月1日に発起、1919年4月9日、ブッツバッハのヘシアン地方裁判所に商業登記を完了しました。
悪化一方の景気の下、外部資金に頼りながら、自身の熟練した技術、開発力、創造性及び従業員を信じて会社経営を行い、なんとか、少しの幸運も手伝い、1949年迄この困難な時期を乗り切ることができました。 この間、第一次世界大戦後、1918年11月からは2度の恐慌、2度の通貨危機、ワイマール共和制、所謂第三帝国により第二次世界大戦が勃発・2度目の敗戦が有りました。
その後は政治的にも安定で平和な時代が70年以上続き、この間、弊社は製品だけでは無く、弊社にとって継続的な変化が有りました。
1964年、新たな過半数株主(ミューラー・シュス社)による統合後、5か所に拠点を持つ新会社ザメスロイター・ミューラー・シュス社が誕生しました。その後、1972年にルーワ社がルーワ‐エスエムエス社を設立、1983年にブス社がブス‐エスエムエス社を設立しました。1998年、US-アメリカンUPEが当社を経営統合、その後、2003年に現在の経営陣がブス-エスエムエス株式会社を設立致しました。
同年の2003年、カンツラー社を統合し、現在のブス-エスエムエス-カンツラー株式会社を設立致しました。ザメスロイター社の設立拠点であったブッツバッハが現在の本社所在地です。ブス社の所在地プラッテルン、カンツラー社の所在地デューレンにはそれぞれ弊社支社がございます。
特に重要な事項として、所在地をそのまま残しだけでは無く、各拠点を維持したことにより、ザメスロイター・ミューラー・シュス社(SMS),ブス社及びカンツラー社それぞれが世界中で築き上げた様々な特徴あるプラント、固有技術やノウハウ、そして知見と技術を有する最も重要な従業員が従来通り引き継ぎ、全世界の熱分離技術の中心として活動することになりました。
このことから3社独自の洗練されたプロセスエンジニアリング及び高度なプロセス装置設計・製造は継承されました。また、3社それぞれの拠点を維持することで人的資源の流出は無く、今後の開発に生かされる事となりました。
統合された3社のそれぞれの名前は独自にその歴史を物語っております。3社は一枚岩で完璧に統合され、それぞれの技術の融合がなされました。このことから、現在のプロセス産業が求める多様な要望に適合した技術と製品を提供することができました。3社中1社の規模と地域を勘案して、1社に統合されずに、3社統合が行われなかったため、スイス企業、その後米国本社のみの限られた地域性と技術だけが残ることとならず、現在の統合された技術を提供することはできたと考えております。
1919年設立から現在に至るまで、弊社はその歴史の中で数々の業績を残しております。その一部を以下ご紹介致します。
上記業績は弊社が過去100年に渡り、技術研鑽に励み、常に変化する市場とお客様からの要求に対応した結果であると思います。弊社は新たな要求に対応するため、常に既存技術の改善と最適な解決策の開発を行っております。
過去数十年の間に、市場において、様々な技術が開発され、消えていきました。また、市場からの要求も時には根本的に変化致しております。蒸気機関の消滅、原子力発電プラントの大きな課題、新たな代替原料による原油との競合、様々な新製品の出現、製品の高品質化、より大きな生産量の要求、持続可能なプロセスの重要性等が例としてございます。
ブス-エスエムエス-カンツラー社はこれらの変化を技術開発の有用な機会としてとらえております。
多数の実プラントでの実績、広範囲な所有技術及び様々な適用事例を基に、弊社は熱分離技術の世界的リーダーとして、また、困難とされる混合物の熱分離市場でのリーダーとして今後も活動して参ります。
弊社の成功の主因はその従業員であると考えております。高度な専門性を有する約250名の従業員は、そのおよそ15%は特殊技能 工又は技術者でしめられており、約55%は弊社で適切な訓練を受けております。約30%は学士でしめられ、数名の博士号を有するものも在籍致しております。 弊社が特に誇っておりますのは、殆どの従業員がそのキャリアの早い時期に弊社に入社し、適切な訓練を受けるか、あるいは大学を卒業後入社し、そのまま継続して弊社で勤務している事実でございます。同様に、若い従業員は熟練工あるいは技術者としての経験と技術を短期間に習得致しております。この従業員の構成が弊社の基盤であり、成長の支えとなっております。
弊社はこの100年の歴史をだけでは無く、従業員一同が同一の使命、知識、経験を基に、次善策に甘んじるのでは無く、最善策を追及することを誇りに思っております。時に最善策を見出すことは困難を伴いますが、100年前と同様、挑戦を続けて参ります。
最後に、2017年に、ISO 9001 品質管理システムの監査官が弊社に対して、業務完了後述べた言葉を引用したいと思います。 「私はこのような要求度の高いプロジェクトに取り組んだ企業を今まで見たことが有りません。ブス-エスエムエス-カンツラー社は全社で、やる気のある従業員チームを有しており、そうで無い従業員はおりませんでした。私は、非常に満足しております。」
ブス-エスエムエス-カンツラー社