薄膜蒸発機
要求度の高い蒸発工程への適用

弊社ではルーワ型・コントロ型(含むザンバイ型)及びスミス型薄膜蒸発機で50年以上の実績がございます。これら薄膜蒸発機には異なる型式のローター(撹拌翼)が本体縦型(テーパ有・無)又は横型に組み込まれており、蒸発物はカウンターカレント・コカレントのいずれかで処理が可能です。従って、弊社薄膜蒸発機群はあらゆる蒸発工程に広く対応しております。

特徴

一般的な蒸発器と比較し、薄膜蒸発機は以下の特徴がございます。

  • 高粘度物・加熱面でのスケール形成・スラリーでの排出等の連続工程への適用
  • 短い滞留時間と狭い滞留時間分布によるり熱劣化が起こり難い
  • 高い蒸発能力        
  • グレード・製品変更において、滞留製品が少ないため製品損失が極めて少ない

上記特長により広範囲な圧力・温度・粘度に対応し、取扱いが困難で処理量の大きな工程において高い蒸発能力を有しております。

動作原理

薄膜形成:供給口から供給された製品はローター上部に取り付けられた分散リングによって、円筒状あるいはコニカル状の蒸発機本体加熱面上部に均一に分散されます。分散された製品はローター先端により加熱面に押し付けられ、均一な製品薄膜を形成します。製品薄膜の厚みは機種・機器サイズにより最小0.5㎜から最大4㎜となります。

高乱流渦:薄膜蒸発機加熱面では、概念上、ローター翼先端と加熱面の間に高乱流の渦(船首波)が形成されます。この渦が高粘度製品においても高い熱・物質移動をもたらします。さらに、この渦はスケール形成や熱敏感性製品の過熱を妨げます。

液膜:ローター翼は遠心力により加熱面で高い蒸発量を保つため、内部蒸発による液膜の破損を避け、安定した製品液膜を常に形成します。これにより、液膜内で発生する蒸発を阻害する要因を取り除いております。従いまして、薄膜蒸発機は原理的にも、高い蒸発能力を達成することが可能です。

薄膜蒸発機システム
薄膜蒸発機断面図
縦型交流薄膜蒸発機システム
縦型並流薄膜蒸発機システム
横型並流薄膜蒸発機システム

薄膜蒸発機型式

薄膜蒸発機は縦型・横型で分類され、さらに本体胴部が筒形直胴とコニカルに分類されます。縦型では、製品は本体上端から供給されます。揮発分は成分構成により、本体上部から又は下部で蒸発します。飛沫同伴した液滴や液胞は、蒸発分が次工程へ移動する前に取り除かれます。

代表的な薄膜蒸発機の型式は筒状縦型本体で固定翼ローターから構成されるDVN(ルーワ型:下図1)及びDVB(ザンバイ型:下図2)、本体がコニカル形状(コントロ型下図3)は縦型DKV(ザコ・コントロ型)及び横型DVH(ザコ・コントロ型)がございます。これら固定翼は粘度70,000mPas迄の処理が可能で、系内洗浄も容易です。コニカル形状(コントロ型)は縦型・横型ともに固定翼と加熱面との隙間を変更調整する機能がございます。この隙間調整機能により蒸発比の高い製品においても適正な液膜を形成することが可能です。

DVB(ザンバイ型)は筒状直胴部でと金属製ワイパー翼から構成され、バイエル社と弊社によりスケール性の高い製品やスラリー状で製品排出するために開発されました。金属製ワイパーは遠心力により加熱面にたいして接触しながら製品を加熱面に押し付けられます。液量がすくなく蒸発比が大きな蒸発工程に適しており、かつ、スミス式ワイパーが樹脂製で有るのに対してザンバイ式ワイパーは金属製のため、スラリー排出に最適です。又、ザンバイ型でコンデンサーを内蔵した薄膜蒸発機はザンバック型と呼ばれ、高真空下での蒸発工程に開発され、日本でもザンバック型が初めて高真空に対応した薄膜蒸発機として導入されました。

 スミス式薄膜蒸発機:下図4はワイパーが樹脂製で、遠心力により加熱面に押し付けられる方式とスプリングによるものと2種類ございます。スプリング方式はモノマー・オリゴマーの脱気に適しております。ワイパーにはPTFE,グラファイト、ポリイミド製等各種ございます。

適用プロセス

弊社では50以上の国々に6000基薄膜蒸発機を納入致しております。

適用プロセス

  • 蒸留、分離、濃縮、抽出、脱臭、脱気、反応工程
  • 熱敏感性、高粘度、スケール付着性あるいは泡形成性が高い製品
  • 連続プロセス

適用プロセス(続き)